丸テーブル(400)

このところ、新作の椅子を考えていました。
が、なかなか考えがまとまりまあせん。良さそうでも、なんかいまいちのような気がして・・・

椅子は後回しにして、別のものを考える事にしました。
丸テーブル!
今年の6月に名古屋でおこなわれた、木工家ウイークの「木の家具40人展」に出展した時に、隣のブースで、「丸テーブル」を出品していました。いいなあ〜〜と思ってました。

丸テーブルの考えがまとまりましたが、4人がけのテーブルだと大きくて、材料と置き場所に困るので、小さいものにすることにしました。
直径40センチのコーヒーテーブルにきめました。

1.写真の右)ラフスケッチ。たくさん描きます。カレンダーの裏や封 筒の中、描けるものにはなんにでも。良い形がでてくるまで。でて きてもまとまるまで。
(中)4人がけのスケッチ(下)コーヒーテーブル(上)脚と貫や幕 板との仕口案

2.写真の左)5分の1サイズの模型用のラフな図面。(見た目はだい たいで、寸法は正確に)

3.1/5サイズの模型制作。
 全体のバランスや、厚みや幅の確認。脚の厚みを30ミリと27ミ リの2パターンを作ってりまあした。30ミリの方がよさそうす。(1/5サイズでは6ミリと5.4ミリでたいして違わないようで違うの です)ほかは良さそうなので制作に かかります。

4.製図。
(左)横から見た図。(中)上から見た図(右上)天板と幕板と脚の 構造。あと細かな仕口の図と(右下)木取り表(必要な材料の寸法 と数)です。

つづく

つづきです。

デザインを考えてから、どんな樹種が形に合うか決めるのですが、この丸テーブル(400)は、なら・たも・ウォールナットなど、どんな木でも合いそうです。なので、在庫のあるクルミの木を使う事にしました。 

5.(左の写真)荒木取り。
 木取り表の寸法より少し大きめのサイズ(幅・厚みは+約5ミリ、 長さは+約30ミリ)で材料を切り出します。
 この荒木取りで、出来上がった時の見た目(木目や色見)が決まる ので、慎重に考えて行います。

6.(右の写真)木取り。
 手押し鉋盤、自動鉋盤、横切り盤をつかい、木取り表のサイズに加 工します。

7.(左の写真)天板の板矧ぎをします。(板矧ぎ(いたはぎ)とは、 木の板は幅の広いものの入手は難しい・高価なため、板の側面を接 ぎ合わせて、幅の広い板をつくる事)
 天板用の板を仕上がりより2〜3ミリ厚く削り、木目の具合を見な がら、矧ぎ合わせ方を決めます。(今回は3枚矧ぎ、三角のマーク は矧ぎ合わせ方向の目印)
 手押し鉋盤で矧ぎ面(接着面)を慎重に加工します。

8.(右の写真)矧ぎ面にビスケットを入れる溝を、専用工具(ビス  ケットジョインター)で加工します。なるべく端の方に入れたいの ですが、出来上がりが丸なので溝を掘る場所に注意が必要です。(完成時にビスケットは見えないように)
 ビスケットはブナの木を圧縮した材料で、接着時の水分で膨れて、 接着を補強します。

9.矧ぎ面とビスケットにボンドを着け接着し、ハタガネで圧着固定し ます。

つづく

つづきです。

10.幕板(幕板は天板の下で天板を支えて、脚と天板を繋ぐ部材)と脚 を繋ぐため、脚にホゾ穴をあけ、幕板にホゾをつけます。(ねじれ に強い2枚ホゾにしました)
    ホゾ穴は角ノミ盤で四角の穴をあけます。
    ホゾは横切り盤で胴付を、昇降盤のホゾ取りでホゾを加工します。

11.脚の内側を成形します。
     型紙を使って墨線を引き,その少し外をバンドソーで切り、反り台 鉋で墨線まで削ります

12.脚の下の貫との接合部の加工。(貫は脚同士を繋ぎ強度を保つため の部材)
 今回の貫は、脚の下(床と接する所)に付くので、蟻型の3枚あら れ組でつくります。
    脚の下部分に、昇降盤とノミで蟻型の凹加工をします。

13.脚の外側の成形。
     型紙とバンドソーを使って成形後、ベルトサンダーでバンドソーの 痕がなくなるまで削ります。
     外側は丸みをもたせる成形をルーターで行うので、鉋仕上げはルー ター加工の後でします

つづく

つづきです。

14.(左の写真)脚の上と外面を、ルーターを使って丸い面にします。
      (写真ではわかりにくいですが・・)
15.(右の写真)ルーターで取った丸い面を、南京鉋で形を整えながら 仕上げます。
 平らな面は普通の平鉋で仕上げ、最後に全体をサンドペーパーで仕 上げます。

16.(左の写真)写真左の脚の下部(4本)にあわせて、右の貫(2  本)に横切り盤、昇降盤を使って、台形のホゾを作ります。(ホゾ が大きくてきつ いと、組んだ時に脚が割れるし、小さくてゆるい  と、強度が弱くなるので、手でグッと押し込んで組めるくらいの大 きさにします)
17.(右の写真)貫の相欠き加工をします。
 (部材の真ん中に幅の半分くらいまで欠き取り、十字に組む加工)
  貫をバンドソーで、アーチ型に成形します。

18.貫を鉋で仕上げ、相欠きの仮組をします。
   (中央部分が段違いになっているのは、デザインです)

つづく。

つづきです。

19.(左の写真)板矧ぎした天板を自動鉋盤で寸法の厚みにして、横切 り盤で寸法ぎりします。
 天板の裏を鉋とサンドペーパーで仕上げます。(吸い付き蟻桟の加 工をするために、加工より先に仕上げます)
20.(右の写真)吸い付き蟻桟の溝をルーターを使って、掘ります。
         (台形の溝が、先がすこしずつ狭くなっています)

21.(左の写真)天板の下に付く幕板に、20で作った溝にあわせて凸側 を作ります。
22.(右の写真)手でグッと押し込んで、取り付け位置の10〜8セン チ手前できつくなる位の感じに作ります。(最終の取り付け時は玄 翁(かなづち)でたたいて押し込みます)
(幕板が天板に吸い付く事で、天板の反り止めになります)

23.天板をバンドソーとベルトサンダーを使って、丸く成形します。

24.(左の写真)天板の下側の面を取ります。
  角面ビットで荒取りしてから、鉋で成形します。(写真の上の方  が荒取り部分)
     (右の写真)鉋で仕上げた面。
         この後、サンドペーパーで仕上げます。

つづく。

つづきです。

25.(左の写真)幕板の成形をします。
  真ん中の欠き取りは,相欠き加工。両端の成形は、天板が浮いて  見えるようになるための加工です。
26.(右の写真)鉋仕上げをして、仮組です。
 (天板に吸い付き蟻桟で取り付ける幕板と、もう片方は木ねじで固  定する為の穴をあけています)

27.幕板を仕上げた後、十字に組み立て天板に取り付けます。
   (当て木を使って、玄翁で叩き込みます)
   蟻桟でない方の幕板を、木ねじで固定します。

28.(左の写真)蟻桟溝の蓋をします。
29.(右の写真)木ねじの取付け穴をダボでふさぎます。

つづく

つづきです。

30.組み立ての準備。
   右下は貫を仕上げて組み立てたもの。
  上の長いものは脚で、その上の小さいものは貫を組み立てる時の     治具。
  こうして組み立てる前は部材を並べて、組み立ての段取りを確認  します。
   (ここで準備が不十分だとボンドを着けてからあたふたしてしま  います)

31.天板付いた幕板に脚と貫の組み立てます。
  2本ずつ組み立てます。貫のあられ組の部分に治具を使っていま  す。

32.組み立て後、脚と貫の蟻型3枚あられ組の貫の蟻型が脚を突き抜け ているので、鉋とサンドペーパーで仕上げます。

完成直前で
つづく。

つづきです。

33.組み立てて出来たテーブルを、平らな台(機械の定盤)の上に乗せ て、脚のガタツキを確認します。少しガタツキがあったので、鉋で 修正し、木地ができました。
34.オイルで塗装をします(オイルフィニッシュ)。

35.完成!!
  全体に丸みをおびた形です。脚の下の方が狭くなっていますが、安 定性は大丈夫。

36.天板が脚から浮いたように見えるようになっています。

37.(右の写真)貫は十字に組んだ中央が浮くようにアーチ型になって  います。
   (左の写真)貫の組み手の蟻型がアクセントになってます。

丸テーブル(400)の制作はおしまいです。


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